保育士さんの呼び方は先生?

皆さんは保育園のスタッフを何と呼んでいますか?先生という言葉を使っていますか?

幼稚園との区分

保育園で働いている人達が教員、教師かどうか?という疑問であれば答えは違います。(もちろん教員=先生というわけではないですが)

中には教員免状を持っている方も多いのですが(小学校教員免状、幼稚園教員免状と一緒に取得する人も多い)保育園で働くのに特に教員免状は必要にはなりません。法律上「教員」ではないのです。

保育園で働くために必要な資格は、もちろん「保育士」です。(パートさんやアルバイトなどで資格を持たない人が一部分勤務することもありますが)

2010年現在、幼稚園(文部科学省管轄)と保育園(厚生労働省管轄)は別々の法律で、別々の目的を持って活動しています。

この二つを統合しようと幼保一元化の流れがあります。完全に統合されれば保育士資格と幼稚園教員免状の区分はどうなるのでしょうか?(この二つはかなり違います)

ですが世の中の代議士、弁護士、税理士など「士」のつく職業が先生と慣習的に呼ばれているように、通常は保育士も先生と呼ばれています。

福祉的な観点から

保育所は厚生労働省管轄なので一種の児童福祉施設となります。それでは他の福祉施設ではどうでしょうか?

例えば老人ホーム、障碍者、障碍児施設などでも昔はスタッフのことを基本的には「先生」と呼んでいました。(老人施設では例外有り)

ですが教育機関ではないこと、利用者の人権を尊重すること、福祉の基本理念が浸透してきたこともあって、ここ20年ほどで先生と呼ぶことを止め、さんづけや名前のみで呼ぶ施設が増えてきました。

今では一般の福祉施設で職員を先生と呼ぶところはほとんど見られなくなりました。そういう意味では保育園は少し特殊な環境とも言えます。

子どものために

では保育園でも保育士を「名前+さん付け」で呼ぶべきなのでしょうか?私はそうは思いませんし、あまり推奨もされていません。

本来の福祉概念からすると子どもといえども(親と並んで)保育サービスのお客様。保育士はサービス提供者です。

客商売の常識からすれば、子どものことを保育士が「さん付け」で呼ぶのが本来のあり方なのでしょう。(他の福祉施設はそうなっています)

ですが、子どもの未成熟な価値観では、その意味を理解するよりも前に、態度が増長してしまったり、保育士の言うことを軽んじたりすることになります。これでは保育の本来の役割を果たすことができません。

「先生」という呼び方もそうです。保育士を先生と呼ぶことで、子どもの中でも教えてくれる人、叱ってくれる人という認識ができてきます。これが「○○さん」では効果半減です。

また幼児期は家庭環境によって幼稚園と保育園を相互に転園する事態も考えられます。このような場合に子どもが混乱しないためにも幼稚園教員、保育士の呼称は先生で統一するべきでしょう。

心構え

ですが保育士の側も本来の意味と福祉理念をきちんと理解しましょう。

園児たちとふれ合う時には「先生」「○○君、○○ちゃん」で通していても、心の中では対等の立場、保育福祉サービスをする立場であることを自覚してください。

そのような内面は態度にも表れますし、それを子どもは見逃しません。園児や保護者がためらいなく「先生」と呼ぶことができる先生を目指してください。