怒る、叱る、注意する、助言するの違い

保育園、幼稚園の先生や児童施設の職員に話をする時に、
最初にする話題が叱り方、怒り方の区別のトピックです。

子どもと接するプロの人達でも、きちんと区別して使い分けている人は
多くありません。多くの先生方は深く考えていないようです。
ましてやプロフェッショナルではない、親になったばかりのママ達の中で
使い分けどころか区別がつく人自体が少ないのもしょうがないことです。

家庭の中で「使い分ける」のは難しいかもしれませんが、
できればきちんと区別がつくように理解しておいてください。
よく「効果的に叱るにはどうすればいいか?」と訊かれますが
多くの場面では怒ると叱る、注意するがごちゃ混ぜになっています。
今回は簡単な区別と使い分けについて解説します。

口調や言い方に段階をつける

怒るや叱るの言葉の意味を辞書で引くことは重要ではありません。
大事なのは段階をつけて、それが子どもにわかりやすいニュアンスで
区別をきちんとつけていることです。

あなたの叱り方、怒り方は子どもにとって一つの物差しです。
あれくらいキツく言われたから、これくらい悪いことなんだ。
それが子ども自身に通じるようにしてください。

物差しが勝手に伸び縮みしてはいけません。
あなたの気分次第、機嫌次第、日替わりで
同じ事を強く怒ったり簡単に許したりしてはいけません。

計れない物差しは困りものです。
何があっても「コラー」「ダメよー」ではわかりません。
食事をこぼすのと道路に飛び出すのを同じ強さで怒ってはいけません。

家庭の中でも強弱ぐらいはつけていることが多いのですが
できれば意識して複数の段階を使い分けてください。
ちなみに園の先生方に指導する時には次の五段階を目安にしています。

きびしく怒る

道路に飛び出す、刃物を振りまわす、火遊びする等の
自分や周囲に命の危険があることについては
大声で迫力を持って真剣に怒りましょう。

怒る

何度言ってもやめないイタズラ、悪意がある場面や
4~5歳を過ぎての暴力行為(友達やママを叩く、蹴るなど)は
「怒って」ください。つまり教育的指導だけではなく
あなた自身がムカッときている、腹を立てていることがわかるように。

叱る

園のルールや家庭のルール、友達同士での取り決めを守らない時
それはきちんと理由を説明して叱りましょう。
約束を守ることの大事さ、守らなければ仲間に入れない、
ルールに従えない人は嫌われることを伝えてください。

注意する

最低限のルールは守っていてもマナー違反になることがあります。
声が大きい、ドタバタ走り回る、食べ物で遊ぶなど
ルールとの境界が微妙なケースもありますが、
「行儀が悪い」を「改善する」方向で声をかけましょう。
周囲の目からどう見えるか?を3歳を過ぎたら説明しましょう。

助言する

まだまだ成長期で年齢として出来なくて当たり前なことや
出来なくても問題ない事も多いでしょう。
そういう場面では「いつか出来るように」アドバイスしましょう。
もちろん非難する、叱るニュアンスで声をかけてはいけません。

どうですか?いつも子どもに困らされている、叱っていることは
どの段階に属していましたか?どんな声のかけ方をしていましたか?

この区別をつけることは赤ちゃんから青年期まで
子どもとコミュニケーションを取る上で重要です。
子どもを叱る前に一呼吸置いて、どの声のかけ方にするか
よく考える癖をつけるとよいでしょう。