3環境や場を整える-6先生、保育士


最初の見知らぬ大人

ここでは幼稚園、保育園の教師、教員、保育士、資格のないパートなども含めて先生という表現で統一します。

幼稚園、保育園での先生は親や親戚を除いて、初めての意味のある大人です。見知らぬ大人なのに自分の名前を呼んで世話をしたり叱ったりする不思議な存在です。転園などできた子どもでない限りは、先生は自分が初めての見知らぬ大人だということを充分理解しておいてください。

親の側からは「先生の言うことはちゃんと聞きなさい」ぐらいの話はあるでしょうが、子どもにとって「先生」という存在はよくわからないものなのです。しかも先生と呼ばれる人は園にたくさんいます。クラス分けされていれば、さしあたって自分の担当の先生を単に「先生」と呼べばいいですが、そうでなければ名前の後に先生を付けて「○○先生」と呼ぶという子どもにとっては初めてのシステムに戸惑うわけです。

家族以外の人の名前を覚える

いろんな人が園にはいます。先生だけで意味が通じる場合と、きちんと名前に先生を付けて呼ばなければ伝わらない場面も多く出てきます。今までとりたてて子どもは人の名前を憶える必要に迫られませんでした。仲良しの子どもができたら自然と名前も憶えて「君」や「ちゃん」を付けて呼ぶし、大人が大勢集まる場面などにも、ほとんど参加する機会はありません。名前を憶える機会があったとしても、大人の呼び方は「さん」です。それだけ初めての先生という存在は特殊なものなのです。

まだ話すことのできない子どもでも、先生一人一人の特徴は認識できます。自分の知らない大人がかわるがわる世話をしたり叱ったり甘えさせてくれたりするわけです。なるべく早く先生の名前を憶えてもらうことが園での活動の第一歩になります。保護者の方も先生の名前を憶えて家で各先生の話ができるようになっておきたいものです。

「命令をする人」ではない

先生の側からの問題ですが、乳児、幼児教育においては教育以外の部分に多く時間をとられるものです。

それは生活に関わる食事、トイレ、着替えなどですが、これらも含めて教育であり、トレーニングだという視点を忘れないようにしなければなりません。着替えなさい、トイレに行きなさいだけではすまないのです。きちんとできているか、できないようならどのようにサポートすべきか。どのように助言すべきか。叱るべきか手伝ってあげるべきか。行動や動作一つ一つにいたるまで良く見て指導することが望まれます。

子どもの側から見ると不思議な大人がやってきて、アレコレとしなさいと言う。やったら失敗して怒られた。うまくできたら褒められた。これ自体は親の教育の元でやってきたことですが、それを知らない人から沢山言われることに子どもは慣れていません。先生の側はそれを考慮に入れて、子どもがパニックに陥らないように最初に付き合いはじめる事が肝心です。

スタッフ間の意思統一

先生同士の中でも様々な教育観や保育観があり、それぞれに自分のできる限りの技術を使って教育、保育を行います。しかし各人がバラバラに動いていては無駄な部分も多くなり、他の先生の手法を壊してしまう場面も出てきます。

例えば自分でできるまで様子を見ようと思っていたことを他の先生が手伝ってあげたり、少し元気がなくなっているので注意する機会を減らそうと思っているところへ他の先生が厳しく叱ってしまったりと、相反することをやって効果が薄くなってしまうのです。できるだけ連携や引継ぎを密にとり、一人一人に統一された意思で接していくことが必要です。

保護者の側も園での対応に希望があるでしょう。その場合は口頭だけでなく、きちんと連絡帳などを使って連絡することが望ましいです。「全員の先生に伝達お願いします」と書いてもいいでしょう。そうすればきちんと伝わり、誤りも減ります。病気やケガ、家庭環境の変化などは重要事項として先生に引き継いでください。

スタッフ間の役割分担

全員のスタッフが同じ子どもに同じように対応するだけでは充分ではありません。チームプレーというのは、それぞれに役割があってこそ効果をあげるものです。叱る役、慰める役、励ます役、話を聞いてあげる役、それぞれに意味があり、必要な役割なのです。

また自分が一役だけやっていれば良いというものではありません。ある子どもに対しては叱る役、他の子どもに対しては優しい先生等の複雑な役割もこなさなければなりません。難しいことですが、きちんと連絡をとりながら必要な役に対応しなければなりません。

そしてそれは家庭にまで広がります。こんなことで怒られたので家で慰めてあげてくださいと連絡帳で連絡するのもよいでしょう。子ども一人に対して様々な役割が必要です。周りの大人たちで一丸となって対応して発達を促していきましょう。

教育か保育か

ここまであえて言葉を濁してきましたが、教育と保育とは本来は別の概念です。それは幼稚園と保育園という見た目は似ている施設が、別の省庁によって管理されていることからもわかります。簡単に言えば幼稚園とは文部科学省が管轄する学校教育の小学校の下に延長された部分であり、保育園は厚生労働省が管轄する働く母親や、その間に世話をする人がいない子どもをサポートするための福祉施設なのです。

本来なら全く別の形態のはずですが、やっていることの間に差は少なくなってきています。国は幼保一元化によって将来的な統合を目指しているようですが、現状ではどういう方向へ進むのか未知数です。

しかし園にとってはどちらかだけやれば良いという問題ではありません。現状でもできうる限り両方の視点で、教育的な指導もし保育的な支援も行わなければなりません。そのバランスは園ごとに違うでしょうが、先生は幅広い教育的で保育的な知識をもっている必要があります。

集団との対話

園というのは、様々な個性や特徴を持った多くの子どもたちが活動、生活する場です。先生はその全ての子どもたちに対して先生でなければなりません。集団の子どもたちと向き合う姿勢が求められるのです。

一人一人の子どもを家で見るのとは違い、園では子ども一人に割ける時間は限られます。8時間労働の先生が30人のクラスをもっていれば、一日に一人の子どもに割ける時間は16分です。もちろん子どもたちが帰ってからの制作や書類仕事、活動の準備などで実際に割ける時間はもっと少なくなります。この時間で食事やトイレや着替えの支援、日中の活動や行事の練習などを指導するわけです。

逆に言えば、保護者から園に望むことがあれば、できるだけピンポイントに要望を出して、実現できる範囲を想定してください。

ちょっとした要望でも積もり積もればあっという間に先生の時間を奪っていきます。子どもに分けられた16分をどのように有効に使うかを保護者は考えてください。要求を出すなということではありません。絶対にここだけは譲れないという最低限度の要望を出し、あとは先生達の力量に任せましょう。

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