「お願いね」関係を深める言葉

「お願いね」
あなたは子どもに何かを頼む時、やってもらいたい時、この言葉を使っていますか?いきなり「ちゃんとしなさい」「言われなくてもやりなさい」という前に、最初にこの言葉を使ってみましょう。

使用目的

子どもに声を掛ける場合、気をつけなければいけないのが子どもはあなたの家来や召使いではない、ということです。もちろん逆にあなたも子どもの子分やお手伝いさんでもないわけです。

お手伝いや義務を子どもに伝える場合だけでなく、ちょっとしたことをして見せてほしい場合にも最後に「お願いね」とつけるだけで、あなたが相手にその行動を望んでいることが伝わります。

つまり対等の人間として「私の希望はこうですよ」と子どもの行動を方向付ける言葉が「お願いね」というわけです。

メリット

「やりなさい」「しなさい」よりもソフトなニュアンスのために、子どもに圧迫感を与えません。「やらされている」と感じることなく、「あなたのためにやってあげている」という意識を子どもに芽生えさせるきっかけになります。

大きくなっても手伝いができない子どもがいますが、これは「相手のためにやる」精神が充分に発達していないために、自分本位な性格になってしまうことが原因です。

ですが小さいうちから子ども相手に道徳観や助け合い精神を蕩々と力説しても、子どもにとってはピンときません。むしろ、そういう話に嫌悪感を持ってしまうこともあります。

「お願いされる」→「やってあげる」→感謝される→喜ばれることが嬉しい→次からも自発的にやってみよう。このサイクルを自然に身につけるために「お願いね」は重要な言葉です。

デメリット

お願いは良いことばかりではありません。まず強制力がないために「確実にやってほしいこと」「今すぐやってほしいこと」の依頼には向いていません。その場合は別の言葉を選びましょう。

また既に自分からできるようになったこと、やってくれるようになったことに、いつまでも「お願い」をすることはいけません。お願いは一種の「感謝の前払い」です。お願いされなければやらない、ということにならないように注意しましょう。

必要になる場面

繰り返しますが、即効性を求める場合は「お願い」は向いていません。今すぐにはやってくれなくてもいい、いつかできるようになってほしい場面で使用してください。

効果的な使用方法は「他の人が見ている前で使う」ことです。他の家族や友達の前で「お願いされる」ことで、人に頼られる、頼りにされる自分を誇らしく思う気持ちが生まれ、それが行動を後押ししてくれます。

使用例

「おしっこしたくなったら教えてちょうだい、お願いね」
「それを取ってきて、お願いね」
「ここで待っててね、お願い」
「イタズラしないで、お願いだから」

使用後の注意点

あくまでお願いなので、できなかったからといって必要以上に責めてはいけません。逆にやらないことを責めなければならないような場面ではお願いしてはいけません。

できた時、やってくれた時にはきちんと褒めましょう。上からの目線での言葉ではなく感謝のニュアンスを忘れないようにしましょう。

何度かお願いした後は、お願い無しでやってくれるかどうか様子を見てみましょう。ケースにもよりますが、いつまでたっても自発的な行動に移らない場合には徐々に強制力のある言葉に切り替えてください。

応用

ここでのお願いは命令や強制ではなく「子どもと良い関係を築く」ための言葉だと割り切ってください。なので一対一の人間として相手に依頼する、という基本が押さえてあれば他の言葉に置き換えてもかまいません。

短く「頼む」「頼みます」「頼んだよ」でもいいし、「あなたにしかできないから」「あなたならできると思うから」「もうそろそろ出来るようになったと思うから」と最初につけてもかまいません。

あくまで「人の喜ぶことを自分からやる」ための前準備として、自分以外の人間から頼まれる人間関係を作るためにやることをお忘れなく。