「ありがとう」関係を深める言葉

何かやってもらった時、こちらの頼みを聞いてくれた時、きちんとアリガトウを言っていますか?言うことをきかせることは重要ですが、その前段階として感謝する、感謝されるというプロセスを含むことは非常に重要です。

使用目的

子どもが親や先生の言うことをきくという行動には、二つの原動力があります。一つは怒られる、叱られるから、つまり自分にとって嫌なことがあるから言うことをきく場合です。

もう一つは褒められるから、ご褒美をもらえるから、自分にとって得なことがあるから言うことをきく場合です。どちらも成長に必要な過程ですが、こちらは一般的に叱られるよりも行動形成が難しいものです。

毎回ちょっとしたことに物でご褒美をあげていては大変です。そこで言葉のご褒美、感謝の言葉が必要になります。ですが相手に喜んでもらうためにやる、というのは少しずつ手順を踏まないと出来るようになりません。

メリット

あなたは「ありがとう」の一言で「その行動がよくできた」ことと同時に「あなたがそれを喜んでいる」ことを伝えることが出来ます。「よくできました」+「私は嬉しい」を併せたニュアンスを表現することが出来るのです。

「ありがとう」は言葉の簡易通貨のようなものです。ありがとうを言われる度に子どもは言葉のチップを受け取る気分になります。すると何時の間にか「自分でも相手にあげたい」と思うようになるでしょう。

「何かしてもらったら、ちゃんとアリガトウを言いなさい」と何度もお説教するよりも、もっと自然な形で感謝の言葉の大切さと効果を学ぶことが出来ます。

デメリット

何事も限度問題なので、何にでも感謝の言葉を使っていると、子どもはそれを軽く見るようになります。

感謝の言葉を軽々しく思うということは、相手の感謝も自分の感謝も軽く見てしまいます。これは人格形成の面で良くないことにもなりかねません。ちゃんと相応の場面でのみ「ありがとう」を使うことで、この流れを回避してください。

必要になる場面

何かをお願いして期待に応えてくれた時だけでなく、何も言っていないのに自分からやってくれた時にも「ありがとう」の言葉は必要です。

特に不意打ちで急に何かやってくれた時には、うっかり「ありがとう」を言い忘れる時があります。そうすると子どもは感謝の言葉がないので報われずガッカリします。ある程度成長するまでは「ありがとう無しでもやってほしい」という気持ちを抑えて、きちんと感謝の意を表しましょう。

使用例

「やってくれてありがとう」
「分けてくれてありがとう」
「大人しくしててありがとう」
「いつも手伝ってくれてありがとう」

使用後の注意点

ありがとうの言葉を言われた後の子どもの表情に注意して見てください。感謝されたことを喜んでいますか?にっこり笑っていれば、それが子どもにとって次の行動の動機付けになります。

そうでなければ「ありがとうの乱発しすぎ」「こちらの言い方のニュアンスが伝わらない」「感謝してほしいポイントが違っている」等を疑ってみてください。

一つのポイントは、あなたが言っているように子どもも「ありがとう」の言葉を使うかどうか、よく観察することです。最初は単なる真似から入ってもかまいませんので、自分からありがとうを言えるようになる時期が一つの目安です。

もちろん子どもからありがとうと言われたら「どういたしまして」と返すのを忘れないでください。

応用

同じありがとうの言葉でも、こちらの表情、口調、身振りやアクションによって感謝の度合いを示すことが出来ます。

多少大げさな演技になっても「どれくらい良いことをしたのか」「どれくらい有り難がられているのか」を大小含めて表現するようにしてください。

怒ったり叱ったりする時のように、褒めたり感謝したりする時もニュアンスが正しく伝わるように工夫してみてください。