5一対多の対応の技術-3場の設定の困難


同じ場所にいるとは限らない

複数の子どもが集まれば、まずそれだけで見守るのも状態を把握するのも困難になりますが、何よりも一緒に遊ぶことができるようになるまでは、互いに全く別の行動を行い、別の場所に行こうともします。同じ場所にいてくれなければとても安心して見ていられないのですが、それはあくまで大人の都合です。

ですがそうも言ってはいられないので、できるだけ同じ場所に子どもたちを集めることにしましょう。これでとりあえずは視界の中に子どもたちを置くことができました。もしこれが困難であれば、優先順位として見ていなければ安心できない子どもだけは、絶対に視界の中に置いておいてください。

あなたが一人であれば、出来るだけ同じ部屋の中、園庭や公園などでも同じ場所に集まってもらいましょう。子どもの自由意志を多少曲げることにもなりますが、何よりも安全を重視してください。

子ども同士は場を共有しない

大人と子どもでも、同じ場所にいながらも場の見え方が異なっていましたが、子ども同士では更に大きくその違いが浮き上がってきます。子どもによっては毎日通っている保育園の慣れた部屋が、ある子どもには初めて足を踏み入れる未知の部屋だったりします。

同じ建物や場所でも場面によっても時間によっても大きく変化します。子どもにとってはそれぞれが別の場所に感じられるのです。

なので成長して一緒に遊べるようになっても、ある子どもには慣れている集団遊びなのに、他の子どもには初めての遊び、または初めての集団行動であるかも知れないのです。このような個人差は常につきまといます。子どもたちの間には言葉以上にわかりあえない部分があるのです。

集団としての意識が芽生えるまでは、各子どもの場の捉え方の差に注意をはらってください。

複数人と同時に話す

大人が一人しかいないとしても、子どもたちは各々が個別に話しかけてきてかまってもらいたがります。

慣れない内は、その中で優先順位が高いもの、緊急性が高いものを見分けられるようになりましょう。それは話の内容だけでなく、子どもたちの中で、今この瞬間に話を聞いてあげないと泣き出してしまいそうな子ども、怒りだしてしまいそうな子どもを見分けることも重要になります。

慣れてくれば楽に大人数の子どもたちと話ができるようになります。出来るだけ均等に話かけ、会話に交じれない子どもがいないように話の内容をコントロールし、全ての子どもに満足感を与えることができるように心がけていきましょう。

特に先生にはこの技能は必須です。出来るだけ早くマスターしましょう。

同じ場に招き入れる

話の流れをコントロールするだけでなく、そこで一つの集団をまとめあげ、行動に統一性をもたせることも重要です。

これも大人がさりげなく声をかけて、全員で遊べる遊びを提案したり、みんなが興味を持てる話題を提供して集団としての一つの場を作り上げます。

そして集団での活動に他の子どももどんどん巻き込み、場に招き入れていきましょう。一旦集団としての遊びや行動の流れが決まってしまえば、後から入ってくる子にとっては入りやすい場になるのです。大人はそこで上手くついて行けない子をサポートしたり、全体の和が乱れないように声をかけたりする位で、できるだけ子どもたちに舵取りを任せましょう。

一人ひとりが見ている世界は違う

集団で遊んでいる時も、少しずつですが子どもたちの見えている世界は違います。集団の中の数人が虫を見つけてついていったり、数人が飽きて他の事をしたくなってしまったり、一人一人がついていけなくなってしまったりします。

しかしまだまだ遊び足りない子もいるでしょう。その全体の雰囲気を早めに察して次の行動をとれるように考えましょう。

一休みするか、他の活動に移るか、それとも飽きた子や疲れた子を別集団としてまとめるか、決断に迫られることになります。

他の大人の助力が期待できないのであれば、少なくとも自分でコントロールできる範囲で次の行動を起こしましょう。安易にグループを割ってしまったり、収拾のつかない遊びを提案したりするのは避けるべきです。

同じ世界を見せる

一つの集団として、出来る限り場を共有し、子どもたちに同じ世界を見せてあげることです。

そうすることで子どもたちの結束も堅くなり、よりまとまった集団として活動できます。その際に、多少の意見の行き違いやトラブルなどもあるかも知れませんが、大きなトラブルにならない以上は静観し、自分たちで解決できるように導きましょう。社会性を早く身につけてもらうためです。

砂場やブランコなど遊具一つ取っても、今遊んでいる子ども、待っている子ども、見ているだけで満足な子どもの利害関係が対立しています。

全員平等な時間を守って乗らせるというのは間違った解決案です。今乗っている子には他の子の気持ちを考えるように諭し、待っている子には変わってというように自分で言い出せるように促し、見ているだけの子に乗ることに興味が持てるように話します。ブランコをめぐる人間関係の調整を自分たちで解決できるように導くことで、次からの他の活動にも良い影響を与えます。

場を意識して設定する

大人の側が場をコントロールすることは大切です。しかし露骨に操作している事がわからないようにする必要があります。導きたい流れがあったとしても全員に声をかけて強制的に移行するのは最後の手段だと思ってください。

こちらがもっていきたい流れを少しずつ数人に話し、自分たちで次の場面に移れるように扇動します。

その際に子ども同士の力関係や政治力(この段階から政治的な能力というものは多少あるものです)に注意をはらい、暴君や独裁者が現れないように注意します。

できるだけ民主的なルールにのっとって自分たちで舵を取っていることを子どもたちにアピールします。そしてみんなが納得するための案を出させるのです。その話し合いのシステムを意識して設定してください。

問題は行動の中身ではなく、それに移行するまでのプロセスです。

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