古い育児本は役に立たないの?

育児や子育てについての月刊誌、参考書、教科書、資料などは、毎月毎年膨大な量が出版されています。

ですが以前のものと最新のものでは載っている内容が違います。少し違うどころではなく正反対、また一度正反対になったものが再度逆転することも珍しくありません。

育児本が変化する理由

なんでこのようなことが起こるのでしょうか?幾つか理由がありますが主なものは以下の通りです。

1.子どもの特徴(月齢当たりの成長、発達)が昔と比べて実際に変化している

2.昔は知られていなかった医学、生理学、教育学、心理学の新しい発見があり修正せざるを得なかった

3.昔とは社会や周囲の環境が違っている(一軒家→アパート、マンション、核家族化、車や交通機関、畳→フローリング等々)

4.昔に比べて子どもの成長にかける期待自体が大きくなっている

ここまではいいでしょう。無理もないことですし、この方向で育児本が改訂、修正されるのは好ましいことです。

育児本は信用できるのか?

ですが最後に一つ重大な理由があります。

5.元々の内容に信憑性が無く、検証がされていない、もしくは最初から虚偽の内容だった

センセーショナルな見出し。興味をひきそうな変わった育児スタイル。ユニークなだけの教育法。心理学や教育学では異端、非常識とされて、価値を認められていない学説を、あたかも「標準、世界の常識」であるかのようにあつかう。

このような残念な内容の育児本、ムック、雑誌も数多いのです。なので数十年どころか一年単位で書いてある内容がコロコロ変わってしまうわけです。

新しい本ならいいのか?

最新でない育児本を手に入れるケースは色々あります。

二人目、三人目の子どもなので前に買った本が残っている。古本屋で買ったら思いのほか古い本だった。自分の兄や姉、知り合いから本をもらった、などです。

中でも一番トラブルを起こしやすいのが「姑(もしくは自分の母)が数十年前に使っていた本をもらった」というケースでしょう。

数十年たてば、さすがに書いてある内容や常識の部分が全く違います。今でも使える知識や役に立つ情報は、控えめに言っても一割もないでしょう。

しかし姑や親にとって単に「私の頃はこれが常識だった」という思い込みだけでなく、辛く難しい子育ての時期を「その本の助けをかりて無事に乗り切った」という自信や思い入れがあります。

子育ての方法の時代による変遷なんて子どもを育てていない時期には気にもなりません。なので親の世代の「育児の常識」は心の中で何十年も変化していないのです。

ですが上に挙げた1~4までの理由を見てください。社会や技術がこれだけ変わってきたのに育児方法が変わらない方がおかしいのです。

「育児法は時代と共に変わるものだ」という共通認識を持った上で、「それでも尚かわらない子育ての基本」を親の世代から吸収するようにしてください。

そのためには古い育児本を見て、単に間違っているという視点ではなくて「昔はこうだったのか」「今はこんなに進歩したのか」という目で眺めるようにしてください。

育児本の嘘を見抜くには?

ではコロコロ内容が変わる育児本は全部信用ならないかというと、そうでもありません。ただ全てが真実だと思い込むのも危ないでしょう。

一つの方法は「なるべくたくさんの本を読む」ことです。

じっくり読むのもいいことですが、斜め読みでもいいので数冊読んでみて、その中で共通した内容の部分は信用してみる。本によって言ってることが違う部分は話半分で重要視しない、という方法です。

逆に考えましょう。本によって言ってることが違う部分は「本筋ではない重要じゃない部分」なのです。振りまわされずにドッシリと構えてください。

それよりも「基本的で重要なこと」の方に気をつかってあげてくださいね。