「一緒にやろう」関係を深める言葉

子ども方からはよく聞く「一緒に遊んで」というような言葉。でもこちらから使うことは少ないと思います。

いつもいつも「やりなさい」や「お願い」だけでは子どもは窮屈な思いをすることになります。子どもとの間に必要以上の上下関係や壁を作らないために「一緒にやろう」の言葉を使ってみてください。

使用目的

赤ちゃんの頃は全てのことは大人が一方的に「やってあげる」ことでした。成長してくると、それが「大人が手伝ってあげる」から「自分一人でできる」に変わります。ですが、それはあくまで「大人の視点」での話です。

子どもは「やってもらう」「手伝ってもらう」ということを「大人と一緒にやっている」と捉えていることに注意してください。

大きくなり自分で出来るようになっても「一緒にやって」というのは、「楽をしたいから」だけではなく、大人との一体感を感じていた小さい頃を懐かしんでいる精神的な部分もあるのです。

でも毎回「一緒に」と頼まれても応えるのは難しいものです。なので大人の側から時間や気持ちに余裕がある時に「一緒にやろう」と持ちかけることで、精神的な欲求を満たしてあげることができます。

メリット

一緒に何かをすることで、子どもは「自分はこんなこともできる」と表現することができます。この時は褒めたり評価したりするチャンスです。

また、いつもは遠くから外から子どもの行為を見ていますが、一緒に行動することは大人にとっても子どもの成長の細かい部分を見るチャンスでもあります。

デメリット

「一緒にやりたい」「一緒にいたい」という満足を求める行為は依存心の裏返しです。悪く言えば「甘え」の一種でもあります。

「一緒にやる」と「やってあげる」の線引きが上手くいかないと、甘えの助長にもつながります。大人と子どもの差はあっても「二人の人間が共同作業を行う」という基本を忘れてはいけません。

必要になる場面

もちろん難しいことにチャレンジする時や、一人では難しい時に手伝うことも重要ですが、それではただの物理的な手伝いです。

「一緒にやろう」にはもっと精神的な作用があります。それにはもっと簡単なことや一緒になって夢中になれる遊びなどでもいいのです。

子どもの不安な表情や寂しさを見逃さずに、「一緒にやろう」と共同行為をとることで安心感や一体感を感じることが出来るでしょう。

使用例

「一緒にお風呂に入ろう」
「一緒に遊ぼう」
「一緒にテレビを見よう」
「一緒に歌をうたおう」

使用後の注意点

一緒に何かをやった後で、一連の流れをお互いに評価してみるのもいいことです。「面白かった?」と聞いてみるのもいいでしょうし、「今日は疲れた」等と自分の率直な気持ちを伝えてみるのもよいでしょう。

さりげないニュアンスで「これは毎回できることではない」「次は何時になるかわからない」と伝えることも重要です。きつく言ってしまっては「一緒にやること」自体を嫌がっているようにとられますし、言わなければ一緒にやる要求がエスカレートしてしまいます。

「楽しかった、次に一緒にやるのも楽しみだ、今度は何をしようかな」と思わせることができれば、目的は達成というわけです。

応用

うまく間隔をおいて楽しい「一緒にやる」時間を過ごせれば、それがお互いの思い出になります。共有の思い出を持っていることは人間関係として重要なことです。

時々「あの時は面白かったね」「こんなことがあったね」と話を振ってみて、憶えているかどうか、子どもの目にはどんなふうに見えていたかをチェックしてみてください。

普段の会話でそのような「思い出話」を楽しむことができるようになれば、その会話だけでも子どもにとって満足度の高い出来事になります。