「次は何するの?」相手を知る言葉

子どもの行動は予測不可能なことが多く、見ている方もハラハラすることも多いでしょう。また単に何をしようとしているのか、よくわからない場面も多いものです。y

「何するの?」は「何してたの?」「何してるの?」とは違い、未来の行動と意志を確認する言葉です。子どもにとっても答えやすく、様々な場面で使いやすい言葉です。

使用目的

子どもにとって過去、現在、未来の時間軸はそれほどハッキリと定まっているわけではありません。過去の願望や未来の予定は分化していないため、一人で混乱してしまうこともあります。

また大人の側も子どもの行動予測について、わかっているようで完全にはわかっていません。そのため事故やハプニング、思いもかけない出来事が起こります。良い方向、後で笑えるような出来事ばかりだといいのですが、そういうわけにもいきません。

そんな時は一声「何するの?」「何しようとしてるの?」と声かけを忘れないようにしましょう。人に説明するために一度自分の頭の中を整理するため、子どもの突発的な行動は減り、大人も子どもの行動を理解しやすくなります。

時間軸を通して「今から先にどうするつもりなのか?」と問いかけることは、子どもにとって先のことを考える数少ない機会です。そこには単なる事実報告だけではない「自分の意志」「自分なりの未来予測」が含まれます。

「今から先にこういうことが起こると思う」「こうなると思う」という予測と、「だから自分はこうするつもり」「こうしたいと思っている」という欲求を重ねて考え、自分で行動を修正できるようになりたいものです。

メリット

何かをしている真っ最中にアレコレと口出しされるのは子どもにとっても嫌なものです。横から口をださないこと、大人が黙って見守っていることは子どもの自立心を育て、伸び伸びと自由を感じることができます。

ですが、やはり心配ですし気になって声もかけてしまいます。そんな時は何か行動を起こす前に理由や予定を聞いておくことで、子どもの動きを安心して見ていることができます。

今まで全く意味がわからなかった子どもの不思議な行動も、理由をきちんと聞いて見ていればなにかしらヒントがあるものです。禁止していたことや途中で止めさせていた行動にも、前もって理由を聞けば納得できるかもしれません。

デメリット

何かしようとする度に「何するの?」「どういうつもりなの?」と何度も連続して聞く事は、子どもにとって大きなプレッシャーにもなります。

そのプレッシャーを上手く使って子どもの行動を抑制することもできますが、あまりにも口うるさく感じられるようなら逆効果です。口うるさい人に対して人間は内緒で行動しようとします。

それよりも素直に答えてくれたり、自分から申告してくれる方が、今後の生活においても大きくプラスになるのです。圧力が大きくなりすぎないように注意してください。

必要になる場面

遠い将来のことから、すぐ次の行動まで使えるパターンは多いのですが、まずは子どもが何かに手を伸ばそうとする時、駆け出そうとする瞬間に使ってみてください。

子どもには失敗や忘れ物、抜けやハプニングが多いものですが、それらの多くは「先を読めない」ことから起こるものです。

「先のことを考えてからやりなさい」とは幼児期から思春期になるまでずっと言われるお説教ですが、そのためには最初に「今より先のことを考える」習慣をつけなければなりません。

時間概念の発達がまだまだな場合は、こまめに時間指定をして先の予定を聞いてみるのがよいでしょう。「次」「先」「今度」という意味がおぼろげにわかってきた時期に多用して、正しい時間感覚を早めに身につけましょう。

使用例

「今から何するの?」
「明日は何をしようか?」
「これが終わったら次は?」
「大きくなったら何になろうか?」

使用後の注意点

子どもの「これをやろうと思う」答えで、危険なものや禁止されていることが含まれていたらもちろん止めなければなりません。

そこまでいかなくても「もっとこうした方がいい」「他のやり方もあることを知ってほしい」事柄も多いことでしょう。こんな時にはさりげないアドバイスを心がけましょう。

何もかも否定されれば気分を害するものですが、未来のこと、これから先のことは思い通りにいかないものです。他の質問と違って「ダメ」「いけない」「そうじゃない」と言われることが多いものだということを、子どもにも良く理解してもらいましょう。

応用

未来の予想と予定が立てられるようになれば、簡単ですが仮定の話や条件付予定の話ができるようになります。これは子どもから、大人から、双方の会話で使うことができます。

「もしも○○だったら、○○してみたい」「明日雨が降ったら、おうちにいましょう」

完全に論理的な条件分岐を理解するのはまだまだ先ですが、「なんとなく可能性がある」程度にでもわかっていれば、何かと話が早い場合が多いので大人としても助かります。

注意しなければならないのが、未来予想のスキルが低い状態だったり、言葉の文法の理解がおぼつかない場合は「もし」の仮定の話を絶対のことだと思い込んでしまうことです。これは子どもにとっても無用な混乱を招くため、使用時期については子どもの理解に十分注意を払ってください。