5一対多の対応の技術-7集団と個人


一人でできることの限界

相手は大人数、こちらは一人。こんな状況じゃ満足に把握もできない、とぼやきたくなる気持ちもわかりますが、愚痴を言っても始まりません。子どもの中で大人は自分一人、その状況で最大限にできることを良く考えてやるしか道はありません。

まずは自分の限界を知ることから始めましょう。自分が走ればどれくらいまでの距離なら追いつけるのか、自分が子どもと最大何人同時に話ができるのか、自分が安全に外に連れて行けるのは最大何人か、自分がその場を離れて再び帰ってきても安全な時間はどれくらいなのか。

これを過小評価、過大評価せずに真実と向きあってください。その中で最大限の安全策をとり、それから残ったエネルギーを指導、教育や保育、支援に向けるのです。

集団として全員をみる

集団としての子どもたちには一人一人の子どもとは違い、集団としての特性や独自の流れがあります。

例えば子どもたちが遊んでいる前にボールを一個投げれば集団で我先にとボールの後をついて行くかもしれません。ご飯の時間になればチャイムがなっただけでわかっている子どもは食事の準備にかかるでしょうが、わからない子どもや戸惑っている子どもも後に続いて真似を始めます。

集団でお出かけした場合は、全体が整然と並んで歩いていればはみ出す子は大幅に減りますが、ダラダラと無秩序に歩いていけば飛び出す子どもや列から離れる子どもは大幅に増えます。これは集団でお互いに場の空気を読みあった結果そうなるのです。

厳しくすればいいということではありません。集団として一つの流れを作ってあげることが重要なのです。

優先順位は刻々と変化する

安全第一なのは当然ですが、それ以外の優先順位は刻一刻と変化していきます。

多くの子どもが話しかけてきてかまってもらいたがりますが、あなたの中の優先順位はきちんとはっきり自覚しているでしょうか。それは自分の中できちんと線引きされていなければなりませんが、かといって固定されてしまってはいけないのです。

楽しく話している最中に別の子どもがトイレに行きたがるかもしれません。トイレに連れて行く途中に他の子どもが怪我をして泣いているのを発見するかもしれません。救急箱を取ってくる間に電話がなるかもしれません。もちろん電話は後回しです。先生の立場ではゆっくりと何か他の事を考えている余裕などないのです。しかしいつかは最初に話していた子どもたちもフォローしなければなりませんし、電話も数回かかってきているのなら緊急事態の可能性もあります。その場その場でよく考えてベストな行動を取りましょう。

絶対にやらなければならないこと

何度も言うように最低限の優先条件は安全面です。特に子どもは思わぬことから大怪我をしてしまう事もあり、また怪我によって入院や手術などの本来無くてもいい苦労を子どもや保護者に強いる結果ともなるのです。また怪我の内容によっては将来に渡って子どもが苦労する事態にも発展します。

逆に言えば安全であるならば、絶対に「やらなければならない」その他のことは、そう多くはありません。その代わりに、絶対ではないが「やった方がより良いこと」は山のようにあります。そこにどれだけの力を注げるのかが子どもと接する人間の腕の見せ所だと思ってください。

空いた時間に優先順位が低いことを

よく予定を組む時には緊急性と重要度を踏まえて考えろといいます。急いでなくても重要な用事や、今すぐやらなければならないが重要度は低いことがあるのです。

あなたが子どもと接する時間には限りがあります。そこできちんと自分の中で子どもとの間の予定を組んでおきましょう。しかし予定通りになるとは限りません。優先順位はころころと変わります。その中で重要度の低いことや緊急性の低いことが埋もれてしまわないように気を付けましょう。

よく言う言い回しに「後でね」という言葉がありますが、後で後でと便利に使っていないでしょうか。子どもにとっては大人が軽く言った「後でね」はきちんとした約束です。ちゃんと後になってフォローしましょう。時間がかなり過ぎていても約束を守るのと守らないことは大きな違いです。

守られない「後でね」が続くと、子どもの中では約束の意味を失っていきます。最近、子どもが「後でね」と言っても聞きわけがなくなっていませんか。それは「後で必ずね」が、ただのその場しのぎだと思われているからに他なりません。

自分の冷静さを優先すべきことも

集団に囲まれて対応に追われていると、ついつい語気が荒くなったり、対応が雑になったりします。ですが子どもたちには大人のそういう面をなるべく見せたくはありません。自分の許容量が限界を超えていると思ったら、すこし我に返って落ち着いてみましょう。深呼吸でもかまいません。

冷静さを欠いている時にはミスも犯しやすくなり、事故が起こる危険性も増します。子どもの安全を見守るように自分の冷静さも見守るようにしてください。あまりの緊張の連続が続いた時には、みんなで一休みすることもいいでしょう。子どもたちは不満顔かもしれませんが、あなたの緊張の糸が切れ、大きなトラブルが起こるよりもマシな選択かもしれないのです。

自分が中心人物であることを自覚する

子どもたちの中に大人が一人いれば、どうしても中心人物にならざるをえません。できるだけ子ども同士のことや全体の流れに口を出さないようにしていても、子どもは何かにつけてあなたの判断を仰ぎに来るでしょう。そのような時以外にも、あなたの行動は子どもたちに見られて影響を与え、模範になってもいるのです。

自分一人が中心人物ではなく、子どもの方にできるだけスポットライトを当てたいものですが、子どもが多くなれば司令塔の役割が必要です。それさえも子どもの側でやってもらうのが一番ですが、その流れを見守り大きな逸脱がないように、主人公たちを陰ながら支えて方向付ける監督の役割であることを自覚してください。

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