6多対多の対応の技術-1一つの集団として


家族と兄弟、姉妹

多人数の大人と多人数の子どもの集団としての良い例が家族です。兄弟姉妹がいる場合はそれぞれの特徴を持った複数人の子どもを親たちが保育、教育していくことになります。子どもはそれぞれの成長年度に合わせての微妙な対応が必要になりますし、家庭内の大人たちのチームワークも必要になるからです。

大人たちが個々にバラバラな教育方針で子どもたちに望めば、子どもたちは混乱し誰の言うことを聞いて良いのかわからなくなります。そんな大げさな、常識の範囲内であれば多少は方針が違っても大丈夫だろうと考えますが、これが混乱の元になるのです。物を盗んではダメ、嘘をついてはダメという基本的な部分は厳しいか緩いかの違いがあるだけで、方向としては統一されているでしょう。しかし逆に小さい所で対応が違うことの方が子どもたちには不思議なのです。

一例として食事の時に飲む飲み物について、あなたは子どもたちに何と言うでしょう。日本茶を飲むように言うでしょうか、コーヒーを出すでしょうか、食事中に飲むでしょうか、食後まで待つように言うでしょうか。生まれ育った環境が違う夫婦に早く子どもができると、このような些細な事が違っている場合があります。大人たちは時々でもいいので情報交換して、どんな場合に注意してどんな場合に褒めたのか基本路線を確認しておきましょう。

スタッフと子どもたち

園や施設の先生と呼ばれるスタッフ(ここではどんな基本資格を持っていようと先生という語で統一します)の間でも一人一人の社会的な常識がまるで違っているので、園内のルールについて一つ一つ明文化しなければならない事態に陥ります。

ある施設を立ちあげた時に、さて食事中のお茶をどうしようかと議論になったことがあります。コーヒー派、日本茶派、烏龍茶派、食前食後派、食中派と議論が定まらず、園利用者の各家庭に普段食事中に飲んでいる飲み物と形式をアンケートに取ると、さらにジュースや健康飲料、量の制限、無制限などバリエーション豊かな結果が出て、結局は職員の会議で一日の必要量や糖分量と相談しながら色々なものが飲めるように工夫しました。

お茶一杯取ってもこのような違いがあります。先生間で前もって話し合いや情報交換をしていないと、着替えのボタンは上からつけろ、ご飯はおかずから食べろ、牛乳を噛んで飲め等と本質的に重要でない部分で子どもを混乱させる指示を出してしまう可能性があります。気を付けましょう。

保護者とスタッフ

先生たちと保護者は同じ子どもをめぐって別々の対応をしてしまってはいけません。きちんと連絡帳などを通じて情報交換し、家での様子、園での対応等をお互いに知っておく必要があります。先生と親、双方共に連絡のやり取りの重要性を知っておいてください。

家と園での対応が違い過ぎると、子どもが園を嫌いになったり、なかなか園に馴染めなかったりすることがあります。特に食事や遊び関係では、どうしても園で我慢した分は家で伸び伸びさせてあげたい気になるものです。片付けできる歳なのに親がやってあげたり、好きなだけお菓子やジュースを飲ませたり。

気持ちはわかりますが、園の教育方針も理解した上で子どもにとって何が最良なのかをよく考えて子どもに接してあげてください。

複雑な関係性

一人の子どもをとってみても先生や他の園児、各保護者、そして祖父母、親戚と子どもを囲む人間の数は成長と共に増えてきます。そして園全体の子どもを考えてみると少なく見積もっても数百人の人間がネットワークとしてその一部に組み込まれています。社会生活、近所づきあいなども含めるとその数は膨大な人数になります。

園を中心に考えるならば、まずは園の内部の先生の会議が中核に、各子どものデータ、問題点、保護者からの要望を話し合います。そして連絡帳などを通じて各家庭とのパイプができるわけです。

そして家庭の中でも家族会議や話し合いで子どもに対する方針を決めるかもしれません。両親の親戚や勤務先などでも子どもが急病になった時、緊急事態などで迷惑をかけたり相談に乗ってもらったりする事もあるでしょう。一人の子どもが社会生活を営むためには、膨大な数の人間の間にできるだけの共通認識があることが必要なのです。

全体と部分

全体を考えると膨大ですが、部分で考えると要は話し合いと連絡で全てが繋がっているわけです。話し合いに関しては前向きに、子どもにとって将来的に、短期的に目標を分けて対応策を考えていくしかありません。連絡は現在は連絡帳が主な手段として用いられていますが、緊急性がある場合は携帯電話、FAX等もどんどん使いましょう。

先生や保護者会は、言ってみれば子どもを将来的に成長させ幸せになってもらうために集まった集団です。そこには遠慮は必要ありません。どんどん話し合いを重ねて議論を深め有意義な結論を導き出しましょう。一つ一つの話し合い、連絡が強化されれば結果はすぐについてきます。

一人の子どもから見た共同体

さて、ここで子どもの一人から周りを見回してみましょう。家庭では父母が連絡不足で同じことで二回怒られてしまうかもしれませんし、片方は良いといったことが片方ではダメだといわれるかもしれません。たまに会うおじいちゃんは何でも言うことを聞いてくれるかもしれません。

園にいけば各先生たちはそれぞれに違うことを言い、怒るところも違います。そして他の子どもたちには怒らなかった事で自分は怒られるかもしれません。家ではOKと言われたことが園ではダメだといわれるかもしれません。

このように連絡不足、話し合い不足によって子どもは大きく混乱します。この状況を丸ごと飲み込めるほど器の大きい園児はいないでしょう。逆に子どもに「家ではお母さんは何ていってたの?」「園では先生は何ていってたの?」と聞いてみましょう。細かいところではそれで充分です。親や先生が何のために言ったのかを理解して、不都合があるならば後日に連絡帳で相談すれば良いのです。

自分が見える範囲

逆に親や先生の一人となって周りを見回してみましょう。園では他の大量の子どもと一緒に扱われているような気がしますが、親にとっては自分の子どもが第一でしょう。これは当たり前のことです。ですが集団生活に慣れる、社会性や協調性を身に付けるという意味では、集団扱いされること自体が重要なのです。

特別な理由で自分の子どもに特別なケアを求める場合は特別に相談しましょう。それが可能かどうかは園側の判断ですが、理由が重大なら聞き入れられる可能性はあります。

さて先生の場合はどうでしょうか。大人数の子どもに囲まれていますが、できるだけ個人個人として子どもをみる視点も欠かせません。しかし自分一人で見える範囲には限りがあります。他の先生の前では違う態度、性格かもしれません。先生間でも連絡を取り合い、抜けがないように見守る必要があるのです。

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