2何が出来るのかを見つめる-7できることとやらないこと


現時点での能力

今、その子はどれぐらいの能力を持っているのでしょう。これは今まで述べてきたように数々の段階があり、数々の分野に分かれています。おおよそ平均的に成長をとげる子どももいれば、幾つかの能力だけとびぬけて発達し他はゆっくりと成長する子どももいます。ここまで見てきたように、成長や発達にはそれぞれの分野があり、それぞれに急に階段をジャンプするように発達する分野と、ゆっくりと徐々に発達する分野があります。そしてそれを観察する側の人間についても、見誤った評価をしていないでしょうか。もう一度良く考えてみましょう。

他人の顔を個別に認識できるようになったと思っていたら、単に母親とそれ以外の人を見分けているだけだったり、物を掴めるようになったと思っていたら単に手のひらに刺激があると反射的に手を丸めているだけだったりと、見誤り過大な評価をしてしまう事例はいくつもあります。

できるだけ現時点での正確な能力を把握しておくようにしましょう。それが基準となって以下を考えます。

日々成長する能力

現時点での成長ぶりを単体でとらえても意味がありません。それがどのような過程で成長しつつあるのかを考えることが重要なのです。子どもは日々を試行錯誤の繰り返しで能力を伸ばしていきます。試行錯誤の過程で、以前はできたはずなのに?と不思議な失敗をすることもあります。それは退行しているのではなく、もう一度正しいのかどうか再検証していたり、他の可能性がないか確かめているのかも知れないのです。

道順を覚える場合を例に出しましょう。一度道順を覚えた場所を見当違いの場所へ行ったり、反対の方角へ向かったりするかもしれません。でも本当に道順を忘れてしまったのか、自分なりに近道を探そうとしているのか、他の道に興味があって寄り道しているだけなのかは、注意深く観察しないとわかりません。子どもの能力は日々一進一退を繰り返しながら前に向かって進んでいることを覚えておいてください。

その場でのコンディションは異なる

全体的に見れば前向きに成長している子どもでも、その日のコンディションによってはできたりできなかったりすることがあります。要因は体調、疲れ、感情の揺れ、場所、周りの人間たちによって左右されます。できるはずのことができなかったら、それらを含めて何故できないのかを考えてみましょう。逆に言えばできるはずのことができなければ、それなりの理由がある、と考えるべきでしょう。

一人で起きてこれる時間に起きてこなければ熱があるのかもしれません。空腹のはずなのにミルクを飲まないのは疲れて眠気が優先しているのかもしれません。トイレに行きたいのに行けなくなったら初めての場所で緊張しているのかもしれません。いつもは言えるありがとうの言葉がでないのは、人見知りしているからかもしれません。

一度や二度できなかったからといって、その能力が失われてしまったわけではありません。何かの理由によって、その時にたまたまできなかっただけかもしれないのです。それをもって子どもを叱る理由にはなりません。その理由を読み取って、次からはどうしようか助言を与えるようにしていきましょう。

自分がコントロールできる限界

できるできないの区別とは別に、どれくらいできるか、という量的な問題があります。トイレの我慢ができる子でも我慢の限界はやってきます。どこまでが子ども自身でコントロールできる限界なのかを正しく見てあげることが重要です。数を数えられるようになっても数えていくのは限界があります。それは3つまでかもしれませんし、9までかもしれません。ミルクの時間を少しは我慢できたのに限界を越えて泣き出してしまうこともあります。怒られる時も途中までは黙って納得して聞いていたのに急に怒ったり泣いたりすることもあります。

注意すべきは、子ども自身がまだ自分の限界をわかっていないということです。なので「少し我慢できる」ことは、「いつまでも我慢できる」と思いこんでしまうのです。大人の側も直前まで兆候がわからないので、つい我慢させすぎてしまうことがあります。大人側が我慢の限界を理解してあげて、早めに対処してそこまで我慢できたことを褒めてあげましょう。我慢の限界を越えてしまったのは子ども側にとっても意図しないハプニングなわけです。一番ビックリしているのは子ども自身で、そこに追加で怒られたらやる気もなくなってしまいます。

どれくらい真剣にやっているのか?

問題や課題に取り組む場合の子どもの態度も、できるできないに大きく関わっています。大げさに言えば集中力の問題なのです。子どもの真剣さ、集中力は一日の中でも限りがあり、長時間連続での集中も限度があることを踏まえておきましょう。

朝はボタンを一人でしめることができたのに、夜パジャマに着替える時には間違いが多かったり途中で投げ出してしまうかもしれません。離乳食を食べるのも長時間にわたると空腹でも途中で嫌になったりするが、子どもの好きなお菓子を出すと集中力が一時的に増して食べる事があるかもしれません。でもこれは好き嫌いとは別の次元の話なのです。

子どもが一日に使える集中力は限られています。それを大人の側はきちんと理解して、およそ残りはどれぐらいなのかの予想がつくようにしたいものです。楽しみなお出かけの日などに朝から張り切って集中力を使いきって、目的地についたとたんに座り込んでしまうことなどもよくあることです。しかし、集中するべき時はきちんと集中して取り組んでもらうべきです。将来的には自分の集中力を使う時、使わない時を自分でコントロールできるようにならなければなりません。そのためにも気楽に流す時間と集中して取り組む時間を明確にして、自分で使い分けができるように導いていきましょう。

どれくらいできているのか?

以上の事柄を全て考えに入れた上で、どれくらいの能力を持っていて、どれくらいの力をつかって、一日にどれくらいの消耗をしたのかを考えてみましょう。能力は常に100%使っているわけではありませんが、眠る時間になる時までに持っている能力、持続力、集中力、体力を使い終えることが理想です。わかりやすく言えば、「今日はどれだけ頑張ったのか」を総合的に解釈してあげることが重要です。

それとは別に一つ一つの行動がどれくらいの頑張りだったか子どもの立場になって考えてみましょう。そうすれば子どもの失敗の理由もわかるし、どれくらい頑張ったのかの評価もできるし、次のアドバイスへの方針も決まります。

毎日考えるのは面倒なことですが、子どもの発達が遅いのではないか、子どもが怠けているのではないか、子どもがわざとやっているのではないかと、様々な不安がある場合は必ずそれがどのような意味なのか、どの段階で失敗しているのかを評価し直すべきです。

相手にわかりやすい評価

子どもの立場になってください。子どもなりに適当にやったこと、頑張ってやったこと、わざとやらなかったことなどがあります。それをきちんと評価されなければ、次のやる気にはつながりません。この場合の評価とはなんでしょうか。それは大人から褒められること、叱られることと、その度合いです。

頑張ってやったのに失敗してしまった時に叱られれば、やる気はどんどん下がっていきます。その頑張りの部分を評価して残念だったけど次は頑張ろうと言葉かけをする必要があります。逆に真剣にやらなかったり、わざとやらなかったりした時には、それに応じた叱り方が必要になります。

子どもにとって簡単にできることを過剰に褒めてしまったり、頑張った末の失敗を過剰に叱ってしまってはいけません。子どもは自分への評価の正当性を、もっとも大事にしているのです。きちんとした評価をしてあげることで、「わかってもらえている」という安心感と、次はもっと頑張ろうという意識の芽生えにつながります。

ここで問題なのが最初の「子どもの現時点での能力を正確に把握する」ことです。つい「わざとやっているんじゃないのか」「ふざけているんじゃないのか」という目線で見てしまうことは、子どもにとって大きなショックです。逆にわざとやっていたり、ふざけていることを見抜けないのも問題です。子どもに「大人は自分のことを良くわかってるんだな」「ウソをついてもばれるんだな」と信頼されるようになってください。そうすればウソやごまかしは激減します。

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