3環境や場を整える-1家庭の環境


子どもが常時いる部屋

子どもが現在いる場所を、状態、状況、様子など様々な観点から検討して「場」という概念で考えてみましょう。

これには同時に同じ場所にいる人間、風景、広さ、温度、周りにあるもの、音の静けさ、騒音、明るさ、暗さ、匂い、それらを総合したものの変化など、幅広い意味を持っています。電磁場や重力場のような一人の子どもを取り囲む心理学的な場という意味です。

生まれてしばらくの乳児は病院という場所が最初の場となるのは最近ではほとんどです。目に入る色は白が圧倒的に多く、静かな中で自分や他の子どもの泣き声が響いています。適温で外と隔絶されているために気温や湿度の変化はありません。窓があり外は見えますが、それは三次元的な奥行きを持たず、壁にかけてある絵と同じで、ぼんやり認識されているだけにすぎません。

特殊な事情が無ければ数日すると家に帰ってきて過ごす場合が多いです。この時に最初は母親のそばに絶えずいることが望まれますが、そうそう24時間一緒にいるわけにもいきません。なので保育者から見えやすい場所に寝かせて、他のことをしている場合が子どもの成長とともに増えていくでしょう。

この時に子どもがいることの多い部屋が、子どもの外界の認識の基点になります。この部屋を一つの基準として子どもはそれ以外の部屋や外の風景を見ていくのです。

子どもと接する時間

子どもも最初は起きている間は常に母親がそばにいないと不安になりますが、寝ている間や起きてから母親がいないことも多くなるにつれて、しだいに慣れてきます。

父や祖父母、他の保育者と共に過ごす機会も増えて、寂しさから泣く機会も減りますが、子どもは誰かがそばにいない寂しさに我慢ができるようになってきているのです。あくまで基本は、誰かに相手をしてもらうことが標準なのだということを忘れないでください。

乳児は自分では何もアクションが起こせません。刺激がないのです。

寝返りができるようになり、ハイハイができきるようになり、立って歩けるようになると、少しずつ自分から見える光景を変化させることができるようになりますが、それまでは視界に入るものも変化がなく、ミルクを飲むか眠るか以外は退屈な生活を送っているのです。

この状況は成長して自分で一人遊びができるようになるまで、大きな変化は起こりません。

誰かが変化を起こしてあげる、刺激を与える、遊んであげることがなければ、子どもはいつまでも退屈なのです。なるべく誰かが傍にいて、相手をしてあげる機会を増やしたいものです。それは必ずしも母親である必要はありません。

父母の生い立ち

育児に関しては、母親と父親の生い立ちが少しずつ影響を及ぼします。様々な育児本や教材がありますが、やはり子どもに接する時に基準になるのは父母の性格と特徴です。そして、それを形作っているのは父母が受けてきた育児、教育が大きな比重を占めているのです。

子ども時代に虐待を受けてきた親は、子どもに同じような虐待を繰り返すことが多いというデータがあります。そこまでいかなくても叱りやすいのか褒めやすいのか、放置しがちなのか過保護なのかは、自分が子どもの頃の記憶を参考に行われることが多いのです。

影響を受けるのは仕方がないことですが、マイナスの部分まで同じように繰り返していく必要は全くありません。

良いことは受け継いでいき、悪い部分はキッパリと捨て去って、子どもの育児、教育にあたりましょう。次の世代により良いバトンを渡していける様に、教育に対する姿勢を考えてみることが大事です。

教育目標

家族の中でも一人一人、子どもがどのような成長をとげてほしいか、どのような大人になってほしいのかの夢や目標があると思います。子どもの未来はまさに無限大の可能性を秘めています。

しかし、人間は運動もできる、勉強もできる完璧な超人になることはできません。そして、進むべき目標、指標がなければ成長していくことは難しいのです。

本来は子どもが成長し、自分で将来や未来の選択肢を選ぶことが最良でしょうが、そこまでの成長はどうすればいいのでしょう。

子どもの個性によって優れた部分や発達の遅い部分も出てくるでしょう。長所を伸ばしていくのか、短所を補っていくのかも、子どもが成長するまでは親が方針や指標を決めなければなりません。

これは難しいことですが、同時に夢のある作業です。子どもが自分で目標を定められるようになった時に、「こうして育ててくれて有難かった」と思われるように、慎重に教育目標を作りましょう。また、できるだけ家族間でもその目標を共有し、尊重していきましょう。

よくある問題は教育方針をめぐって両親が言い争う、父母と祖父母の間で意見がわかれる等の、家庭内での意見の不一致という事があります。

この件では、お互いに相反する方針で育児、教育される子どもが一番の被害者です。できるだけ統一し、絶対に意見について言い争っている場面を子どもに見せないことが重要です。

子どもの自由度

子どもがハイハイや自立歩行ができるようになると、子どもの行動を何らかの形で制限しなくてはなりません。その多くの理由は危険防止のためです。

家の中だけでも割れ物や壊れ物、お風呂やベランダ、階段などの危険なものがたくさんあります。それを子どもの発達段階に応じて禁止したり許可したりしなくてはいけません。

まずはハイハイがはじまった時点で、部屋から出るか出ないかの選択があります。部屋の中でも落ちてくるものはないか、割れ物はないか、口に入れて危険な物はないか等の注意が必要です。

ガラス、暖房器具、ポット、ライター等の直接危険なものから、電池、タバコや小物等の誤飲に注意するべき物があります。これらは取り除いておくことが重要ですが、取り除いたまま成長を続ければ、別の部屋や場所にいった時に同じような事故が起こることが考えられます。

成長の途中で、目の前にあっても触ってはいけない事、口に入れてはいけない事であることを覚えてもらわなければなりません。

部屋から出ればベランダや階段等の危険な場所もあります。これは外に出た時も同様です。

階段を上り下りする時は必ず親と一緒であることや、ベランダには出てはいけない等の決まりを作り、守っていくことが大事です。

育児本などでよくハイハイの子どものためにビニール製の芝を置いておくと、とげとげの感覚を嫌がって、それ以上子どもは進まない、という話がありますが、これは子どもにより個人差があり、平気な子も多いようです。過信しないようにしましょう。

家庭内のルール

子どもの自由を制限したり、社会的に通用するようになってもらうために、家庭内でのルールを決める必要があります。

これは家庭内では誰もがルールを知っており、人によって対応が違うことがないようにしなければ意味がありません。そして成長と共にルールも変化していきます。これも家族全員が歩調を合わせて、本人を見守ることが大事です。

例えば食事の皿についてのルールは、最初は食事の時以外は皿に触っては危ないので禁止というルールになるかもしれません。成長と共に、お皿を持って食べなさい、お皿を並べるのを手伝いなさい、食べ終わったらお皿を重ねて洗い場に持ってきなさい、と自由度と役割が変化してくるはずです。

他の事でも最初は触ることも禁止されていたものが、積極的に触るように指導され、その整理整頓までが義務になる、ということがよくあります。

その他にも外に遊びに行く時は、必ず誰かと一緒だったものが、一人で遊びに行けるようになり行動範囲を決められたり、場所の指定はなくなったけど門限が決まる、というふうに変化します。

このルールをきちんと守るようにし、守れば褒められ、守らなければペナルティがあるという方針が望ましいでしょう。発達段階に合わせてルールの変更があれば、親子で話し合ってきちんと明文化しておくのもいいかもしれません。

子ども部屋

家庭内でのメインの場として、子ども部屋があります。これは住宅事情にもよるのですが、部屋の一角でも、机一個でもいいので、その子ども専用のスペースを作ることをお奨めします。このことは子どもの自立心を高め、責任感を養うのに重要だからです。

立って自分で遊べるようになると、おもちゃなどを自分で片付ける習慣をつけなければなりません。これは最初は一個の箱でもいいでしょう。よくあるおもちゃ箱です。最初はこれが子ども部屋代わりとなり、その中身や整理、片付けなどは、その子どもの責任、義務として守ってもらいましょう。成長と共に箱は一つでは足りなくなるかもしれません。寝る場所も親と一緒でなくてもよくなる時期がきます。

子ども部屋を作る目安は、一人でその場所を管理できる能力がついた時期が最適です。その部屋に関して基本的に親はノータッチであることが肝心です。掃除も片付けも布団や着替えの管理も自分でやってもらうのです。これは将来の自立のためのミニ自分の家という位置づけです。ここまでくれば家の中での子どもの場は固定されます。

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