3環境や場を整える-3場の設定


家庭という場

家庭は場としては一番基本的な場面で子どもの行動の様々な基準となります。父と母、それ以外の家族の人間関係、自分の居場所、食事場所、遊ぶ場所、寝る場所、お風呂や洗面所などの色々な場面があります。最初の頃は部屋を変わっただけで世界そのものが一変していた子どもの心も、次第に家という統一的な場を認識できるようになります。

逆に子どもの頃に引越しや家族の入れ替わりがあると、子どもは適応するのが難しく、しばらく混乱状態になります。自分の基準になる場が変化してしまうからです。できるだけ子どもに負担のかからない変化の大きくない対応をしたいものです。しかし変化は突然にやってきます。父の単身赴任、兄弟やその他の家族の独立、家族の死去等により、子どもは自分の居場所を失ってしまったと感じます。子どもをできるだけ早く安心させることを考えてください。

移動中

場所から場所へ移動の場面は大人にとって単なる中継地点ですが、子どもにとっては一つの独立した場です。歩いての移動、車での移動なども子どもにとってはイベントなのです。特に目的地までの移動概念がない最初の時期には、単なる外出も家から移動中、外出先、移動中、家への帰宅と大幅な変化に感じるものです。消耗し過ぎないように気を付けましょう。

幼稚園、保育園など決まった場所への外出などにより、子どもはそれが単なる途中の過程なのだと認識します。慣れていくにつれて、それは登園という一言でくくられるようになります。それまでは車に乗るイベント、バスに乗るイベント、長距離を歩くイベントと見なされるわけです。逆に家や外出先では味わえない季節の変化や、次々と変わる風景など、子どもにとってはワクワクする出来事でもあります。

注意する点としては移動にかける時間は最小限度、距離も最短距離にしたい大人側の要求が中々理解できないことと、途中にトイレや休憩場所がない場合です。家にいれば尿意と共にすぐトイレに行けるのに、我慢しなさいと言われることも多く、不思議に思い戸惑います。特にトイレトレーニング中には出かける前に尿意がなくてもトイレをすます習慣をつけることも大事です。

外出先

外出先は子どもにとって楽しみな場所と嫌な場所に別れます。遊園地や公園や動物園のような楽しみで面白い事がいっぱいある場所と、歯医者や病院、親の用事の付き合い等は苦痛を伴ったり、退屈であったりと嫌な場所があるわけです。

また、その場所に行ったことがあるかどうかも関係があります。初めて行く時には歯医者も楽しみな場所かもしれません。二回目、三回目と通ううちに嫌な場所は嫌いになり、好きな場所はどんどん好きになります。外出先に飽きるということは、よほど通わない限り起きないことなのです。

大抵の場所では子どもは歓迎されますが、観劇やコンサート、レストランや喫茶店では子どもが避けられる場合もあります。子どもの泣き声や叫び声で周囲に迷惑をかけないようにしましょう。しかし子どもに泣いてほしいと思っている保護者などいません。ある程度はしかたのない事でもあります。そんな時は周囲に一礼するだけでも印象は変わります。子どもだから泣いて当然という態度では避けられてもしょうがないでしょう。

園や施設の中

幼稚園、保育園は親戚の家などを除けば、初めての特殊な外出先です。どの子どもも最初は「通う」という概念が理解できずに、一回きりのつもりで来る子どもが大多数です。また長時間に渡り知らない人と一緒で知っている人がいないという場面も初めてのことが多いです。

「先生」という存在も初めてです。父母以外にはほとんど怒られたことのなかった子どもが、先生の言うことを聞かなければならない、父母に助けを求めようとしてもいないという、子どもにとっては初めての特殊な場面です。また自分以外の子どももたくさんいます。兄弟姉妹や近所の子どもと遊ぶことはあったかもしれませんが、こんなに大勢の名前を知らない子どもと一緒にいることは初めてです。

一人っ子等で経験の浅い最初の内は自分と同じ「子ども」という概念がわかりにくく、他の子どもたちはただの場面の背景として知覚されることも多く見られます。しかし、そのうちに先生や他の子どもの名前も覚え、行くのが少しずつ楽しみになって行きます。なかなか登園に慣れない子どももいますが、できるだけ中で友人をつくり、先生の名前も覚えて家に帰って園で何があったか聞いてあげましょう。「明日も帰ってきたら園のことを聞かせて」という一言で子どもの登園への意欲も大きく変わります。

園の外

園によっては、遠足や運動会等の大きなお出かけ以外に、日常的に公園へ出かけたり散歩に出たりする事があります。この時、子どもの中では発想の大転換が起こります。言葉の問題でもあるのですが、園から外に出るのが「お出かけ」、園に再び戻ることが「帰ってくる」になるのです。

これは家を第一基準としていた子どもにとっては、なかなか慣れない理解しにくい事柄です。しかし、園を第二の基準と捉える視点ができてくれば、それほど大きな問題にはなりません。逆に慣れないうちに公園で単に「帰ろう」等と言ってしまうことで家に帰れるものだと誤解したり、泣き出したりすることもあります。子どもの理解度を量りながら、適切な言葉で誘導することが大事です。

例外的な場面

子どもにとって理解できる範囲や知っている場所というのは限られたものです。また園へ通う場合はあらかじめ準備や説明もあり、慣れなくても時間が解決してくれる部分もあります。しかし、スケジュール通りに物事は進みません。子どもにとって(時には親や周囲の人間にとっても)イレギュラーな例外的な場面というものが訪れます。

家では急に熱が出て(怪我をして)病院に行ったり、親戚のうちに預けられたり、予定になかった用事が入ったりと、事前に説明のなかったことで子どもはビックリして警戒し緊張します。そこで予想もつかない行動や見せたこともない態度をとることがあります。

園や他の外出先でも、雨で予定が変更になったり、病気や怪我、数々のトラブルなどで当初に子どもに説明しておいたことから大きく予定が変わってしまうことがあります。できるだけ、わかった時点で子どもによく説明して、また事前にわからない場合には安易な答えは避けて、「明日は晴れたら出かけるかも」等のように条件をハッキリ伝えたり、他の可能性を示しておく必要があります。子どもの心の無用な混乱は避けたいものです。

子どもの中の位置づけ

子どもにとって多くの場は望む望まざるによらず周囲の都合の固まりです。家庭のスケジュールや部屋割りや家具の配置などは子どもが望んだものではないのですが、子どもは有るがままを受け入れて適応していきます。他の場所へのお出かけや登園も最初は望んだものではなく、周囲の都合により行われるものです。

しかし、少しずつ遊園地が楽しかった事や医者で注射されたことなどが経験として詰まれていき、好きな場面と嫌いな場面ができてきます。成長と共に子どもの心ではもう少し分類が進み、このお医者さんは注射が痛くないとか、保育園がプールの時期だから好き等、条件により場面を分けて認識する事ができるようになります。こうして場面場面を個別に捉える能力が出来上がっていくのです。

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