3環境や場を整える-4場の転換


子どもの視点で考える

子どもを取り巻く場は一日の間にもころころと変わりますが、これを子どもの側からみるとどうでしょうか。家を基準の場として捉えるまでは、子どもにとっては自分の周りがころころと変わるのと違いがありません。演劇の舞台であれば、主役は立ったままなのに周囲の背景や大道具などが勝手に変化するようなものです。当初はこれが普通のように思われるので混乱はありませんが、逆に一定の足場がないので子どもの側からすると周囲は常に変化する流動的なものに感じられます。

家という場を認識できるようになると、全てをこの基準に合わせて見れるようになります。家で目覚めて、一日を過ごす。出かける事があっても家に帰ってくる。移り変わる場の転換は、家に帰ってきた時点で終了なのです。このような見方は園に通うようになって物事を相対的に見れるようになるまで続きます。

保護者と園の連絡

幼稚園、保育園に通うようになってから子どもは二重の生活を行うことになります。今度は逆に自分が二人いるような錯覚を覚える子さえいます。変わっているのは背景ではなく自分だということになるのです。家にいる自分と園にいる自分を同一の自分と認識するのは難しいのです。保育園の利用の仕方によっては、家よりも保育園で過ごす時間の方が長い子どももいるのです。親や先生が後で話を聞いてビックリするほど違う態度を双方でとっている子も出てきます。

そこで連絡帳や子どもの登園時等の受け渡しで緊密に連携をとり、子どもにも連続したイメージを持たせることが大事です。親が「今日は粘土で遊んだんだってね」と言ったり、先生が「昨日は家でケーキを食べたんだって?」と話すことで子どもは自分を取り巻く世界が連続したもので、自分も又、連続した存在なのだと意識していきます。これはアイデンティティー(自我の同一性)の形成に大きな影響を与えます。

気分転換

場が変わるということは、子どもを取り巻く状況が変わるということです。これで子どもは気持ちを切り替える事ができます。逆に言えば自分の意思とはあまり関係なく気持ちが切り替わってしまうのです。泣いていた子が出かけたとたんに笑い出したりする事があります。これはお出かけが楽しみだということももちろんですが、お出かけをきっかけにして気持ちが切り替わったということを意味しています。

大人の場合は一つの作業に疲れたり飽きたりして気分転換をしようと思えば違うことをしてみるだけでも効果はあるのですが、子どもにはまだその選択肢は多くありません。遊びに飽きたからといって他の遊びが次から次へと見つかるわけではありません。ではそれ以外のことはどうでしょう。勉強も仕事も家事も、まだまだ子どもの手の届くところにはありません。選択肢が極端にすくないのです。なので気持ちを切り替えるためには場所ごと変化するのが有効なのです。

楽しみな場面転換

子どもの中でも、好きな場面と嫌いな場面はあります。それとは別に、自分がやっていることに退屈していたり飽きていたりすると、場面の切り替えはとても楽しいことに思えます。集中力は同じことには注ぎ続けられませんが、興味が他の物に移れば話は別です。

子どもは何も言わなければ、ずっと一つのおもちゃで遊び続けたりすることもできます。でもそれは自分で他の事を始めるきっかけがつかめないだけ、選択肢がないだけかもしれないのです。そのことを周りの大人も考えておきましょう。大人と同じように子どもにも環境の切り替えや気分転換が必要なのです。子どもの発達に合わせてギリギリで理解でき、楽しめる遊びを提供しましょう。もしくは場面を積極的に変えてみましょう。

望まない場面転換

逆に何かに集中していたり、一つのことに打ち込んでいる場合は楽しみなはずの場面転換にも気乗りがしない時もあります。おもちゃで遊んでいる時に、外へ行ってみようと誘っても嫌がることも当然あります。流れを中断したくないのです。この時はできるだけ子どもの意見も尊重するか、もしくは一区切り付くまで待ってあげてください。

行動の選択肢が大人よりも少ないために、集中して取り組めることがあるということは、それだけ子どもにとって貴重な時間なのです。用事があって待てない場合でも「これを組み立てたら行こう」とか「絵を描き終わったら行こう」等と声をかけて早く終わるように手伝ってあげる手もあります。これで子どもの中では一応の納得ができ、場面も切り替わりやすくなります。

意識のリセット

気分転換というくらいなので多少の変化は想像できますが、子どもは予想以上に場面によって大きな意識の変化を起こします。子どもが怒ったり泣いたりすることで収拾がつかなくなる時があります。最初になんで怒っていたのか忘れてしまうくらい怒りが治まらなかったり、泣き出した原因は解消されているのに泣きやまない場合です。このような時には、いくら説明してもわからないし、泣いているのを止めることも難しくなります。

こういう時には、是非少しだけ場面を変えてみましょう。外へ連れ出すとか、違う部屋に移るというだけでもかなり違います。そこで子どもの意識を一度リセットしてから話をするのです。昔は悪いことをした子を押入れに閉じ込めたりしていたようですが、あれも罰の意味より意識をリセットさせて反省させる意味が大きかったのでしょう。気分が切り替われば驚くほど静かに話を聞き、納得する事ができるようになります。

連続した流れ

こうして断続的に子どもを取り囲む場は変化して行きますが、子どもの中では連続した一つの人格が形成されていきます。園での自分、家での自分、親戚の家での自分、外出先での自分等を、全て自分なのだ、と認識できるのです。

こうして一日のサイクルが出来上がると、毎日の場の転換の変化に慣れ、一週間、一ヶ月と時間認識が強まってきます。移り変わる場の問題も自分の目で相対的に見つめられるようになります。子どもの頃はこうした気分転換や変更を大事にして、わかりやすく解説していきたいものです。何よりも子どもが自分の外界をどのように認識しているのかを、きちんと把握しておくことが重要です。

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