3環境や場を整える-5家族


子どもを取り巻く環境で家族は一番大きな役割をはたします。その中で母親は、特殊な家庭事情がない限り最大の影響力を子どもに持ち、また最大の愛情を注ぐ人格になります。時代と共に家庭での妻の役割は大きく変わりましたが、母の役割というのは基本的な部分は常に変わりません。

母親の役割はミルクをあげたり寝かしつけたりあやしたりと多岐に渡ります。しかし本来は(母乳の件を除けば)その母親固有の役割も他の人が代わりにやることも可能なのです。妊娠出産を境にして母親は自分のことだけでなく子どもに関しての様々な役割が付きまとい覆い被さってきます。

できるだけ母親一人に負担が集まり過ぎないように家族に協力を求めて、母親本人の体調も考えておいてください。子どもにとって母親が病気になってしまうほど心細いことはないのですから。

父親ももちろん子どもへの愛情がありますが、母親のように自分のお腹を痛めて身を分けた経験がないので、どうしても他人事のように感じる場合が多く見られます。しかし進んで母親の代わりに子どもの世話をして自分で可愛がっていくほどに子どもへの愛情は増えていきます。子どもからの信頼も厚くなり、父親として成長していくのです。

よく言われますが、母親は生物学的に母になるのに対して、父親は社会学的に父になるのです。これは否定的な見方ではありません。母親を最初から嫌いな子どもは少ないですが、父親は最初に子どもに好かれようと努力しなければなりません。その努力が一人の男を父親にしていくのです。母親と共に父親は協力して育児、保育、教育に取り組まなければなりません。母親だけに全てを任せることは、一見楽なようですが母親が倒れた時に一番の苦労をするのは父親です。母親に負担が集まり過ぎないように力の配分をコントロールすることも父親の仕事です。

兄弟、姉妹

その子どもに兄や姉がいれば最初にぶつかる問題は赤ちゃん返りです。これは簡単に言えば今までは親の愛情を一身に受けていると思っていた自分が、次の子どもが生まれることで愛情を今までどおりに受けることが難しくなり、自分も赤ちゃんのようにかまってもらえる存在になろうと、本来は自分でできることやわかることも、わざと失敗したり、できなくなったり、というものです。

これは、その時の兄、姉の発達の度合いによって困難さが違います。充分に発達していれば、むしろ新生児を世話する立場に巻きこんでしまい、お兄さんお姉さんとしての意識付けをしっかりさせることができます。

しかし1~2歳の違いでは、逆に一番愛情を注いでほしい時に、注いでもらえないという結果になります。子どもをわざと分け隔てて対応する親はいないでしょうが、どうしても子どもは自分に愛情が注がれないことが気になるのです。そんな子どもの心を察してあげて、新生児のために手が割けないのなら、せめて会話だけでも欠かさないようにしてあげてください。

また、子どもに弟や妹ができた場合は、やはり同じことが起こります。母親の気を引こうとわざと小さい子どもをいじめたりすることがあります。この時の子どもは加減を知りませんので、命に関わるような大事故が起こる可能性もあるのです。目を叩いてしまったり、高い場所から突き落とそうとしたケースもあります。

これが三人兄弟、四人兄弟になれば、子ども間の心理状態も、より複雑になります。子どもの心情をこまめに汲みとってあげて、兄弟、姉妹の間に良いムードが生まれるように誘導してあげてください。

祖父母

父母にピンチが訪れたり、困ったことが起これば祖父母の出番です。祖父母は単に年長者で人生経験が豊かなだけではなく、父母を育て上げてくれた子育ての先輩なのです。逆に父母の子どもに対する態度も祖父母の影響を大きく受けているのです。

子育てや教育方針について困ったことや迷ったことがあれば、是非祖父母に相談してみましょう。よく教育方針をめぐって父母と祖父母の意見が食い違う、ということがありますが、それは残念なことです。

しかし子どもは父母のどちらかに(もしくはどちらにも)似るということがよく言われています。つまり祖父母はその子どもに似た特性の子どもを育て上げた実績がある、ということなのです。遠慮しないで相談して、その意見の重みを軽視しないようにしましょう。

親戚、いとこ

祖父母と同じで親戚は、その子どもが出会う父母以外の初めての大人たちになる場合が多いです。たまに会う親戚のおじさん、おばさんは子どもたちの良き話し相手になり、可愛がってくれる大人です。また祖父母や親戚を通じて、子どもは家族関係という物を認識します。父母と自分の家族という単位は、最初は子どもにおいて全ての基本、それ以外は他人という認識ですが、父母にも父母や兄弟姉妹がいるという事実を受け入れることで、家族関係という認識は深みと広がりを持つのです。

また、いとこは年齢を問わず子どもの良き遊び相手になるでしょう。保育園などに早期から通う子どもを除けば、自分と同じ「子ども」がいるということを知り、そして一緒に遊ぶことを学ぶのはいとこ同士であることが多く、子どもにとって貴重な体験となるでしょう。

家族の役割分担

家族構成は各家族によっても違い、一概には言えませんが、大雑把に分けて「一緒に住んでいる家族」と「離れて暮らしている親戚」に分けられます。ここでは一緒に住んでいる家族を問題にします。家族の中の力関係、一緒に過ごす時間帯、叱ることが多い人、甘えさせてくれる人等などの様々な役割が家族には求められます。

家族が少なければ少ないほど一人で何役もこなさなければなりません。母(又は父)一人子一人であれば家族が持つ機能を一人で受け持つことになるのです。

家族の中には演劇でいう様な役割が存在します。厳しい人、優しい人、仲間になってくれる人、相談相手、悪役、正義の味方等などです。これは家族の中でおおよそでいいので役割を決めておくことも大事です。誰かに叱られれば、誰かが話を聞いてあげ、誰かが慰めて、誰かが元気付けるのです。悪役は損な役周りですが子どもの成長や発達には欠かせない役割なのです。

その子どもの位置づけ

誰もがこの世界では何らかの一役を演じなければなりません。子どもはある程度成長するまでは全てを自分基準で考えます。自分が舞台に上がりっぱなしの主役で、他の人たちは脇役なのです。自分が寝ている間、舞台は閉まっています。自分が寝ている間は世界がないのと同じことなのです。

そのうち子どもは自分が認識していない所でも世界が動いていることを学習します。父親が昼間いないのは単に存在が消えているわけではなく外で仕事をしているのだ。兄姉がいないのは学校というところで勉強しているのだ。それらを本当の意味で理解する時、子どもは自分だけが主人公ではないのだと思い知ります。自分が知らないところでも寝ている間も、世界は動いていて誰もが個別に考えて動いている、自分もその一人なのだ、と。

ですが、これは残念なことではありません。父母や祖父母は仕事の話などもわかりやすく子どもに話してあげましょう。兄や姉も学校の話をしてあげると子どもは純粋に楽しみます。それが子どものもつ世界観を大きくしていく方法なのです。

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